第44回
声の基礎的知識と声の人生における意義
一色信彦 京都大学名誉教授
アマゾンで魚が陸上に上がり酸素を吸う魚、肺魚が誕生した。酸素とえさを分離する弁として出来たのが喉頭である。元々声を出す器官として出来たのではないが、しかしこれが声の始まりであり、故障を起こした時の修繕、治療手段は極めて乏しかった、20世紀後半、ようやく筆者は声帯に触らず声帯の入っている箱(枠組み)の形を変えて、声を治す手術を開発。世界中で広く行われる様になった。今世紀に入り、声帯麻痺を起こしたオペラ歌手に対し、ピアノの調弦に相当する手術方法を行いステージに復帰させる事に成功した。これら新手術法開発は、発生のメカニズムが良く分っていないと出来ない。Hybridという事である。その他発生のメカニズム、歌う事がいかに健康に良いか、記憶にも貢献するが、呼吸、自己催眠などにも時間があれば言及したい。
日 時: 平成 28年5月 28日(土)12時~12 時 50 分
会 場: 御所西京都平安ホテル 嵯峨の間
第45回
永遠のモダンをめざして
ー日本庭園作家・重森三玲の創作世界
記録映画 「変貌̶庭を造る」上映
重森貝崙 元岩波映画監督
中日文化研究所 専務理事
重森三玲(しげもり みれい)は日本庭園をはじめ、茶の湯、生け花など日本の伝統芸術の研究者からスタートし、研究・著述の世界に身を置きながらも、現実の日本庭園創作を実践してきた。庭は単なる自然の模倣ではなく地上に描かれた立体的絵画であり、芸術的創作でなければならないと主張し、現代だけのモダンではなくいつの時代にも通じる斬新さ、すなわち永遠のモダンを表現したいと考えていた。三玲の作庭世界を取材した「変貌ー庭をつくる」というドキュメンタリー映画がある。画面の中では一切のナレーションを排し、三玲自身に芸術観と作庭哲学を語らせている。まずこの映画を上映することにより作庭の具体的シーンを展開し、そのあと講演で「永遠のモダン」とはどのようなモチーフであり主張なのかを読み解いていく。
日 時: 平成28年10月8日(土)13時30分~15時
会 場: 鴨沂会館新館 2 階