ご寄付

京都鴨沂会の公益目的事業にご賛同いただけます個人、法人からご寄付を受け付けております。

振込によるご送金の上、下記フォームよりご連絡をお願い致します。
 寄付金振込口座
 ゆうちょ銀行 00980-4-235158 公益社団法人京都鴨沂会
 

または上のオンライン決済のページからお願い致します。

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平成30年11月25日に京都府立京都第一高等女学校(明治5年〜昭和25年)社団法人京都鴨沂会(明治20年〜平成25年)沿革誌改訂第2版を発行しました。

 本会の公益目的事業の趣旨に賛同され寄付をいただいた方に寄贈しています。



いただきました寄附金の報告

NEW 朱雀高等学校通信制課程の元同窓会より寄付を頂きました

 

2023年5月19日、当会の公益目的事業にご賛同いただき、元朱雀高等学校通信制課程同窓会より705,000円の寄付を頂きました。元朱雀高等学校通信制課程同窓会代表の山本明子様、在学当時担任の教諭であられた湯山ちいほ様には、手続きなどを含めて大変お世話になりました。また寄付に際して提出頂きました書面「寄付願」の付帯事項をここでご紹介致します。

 寄付願付帯事項

京都府立朱雀高等学校通信制課程の同窓会はすでに解散して久しく、元代表者を中心にその残金の適切な使途を検討して参りました。この度、元代表者の山本明子が貴会の京都鴨沂会奨学金制度を知り、公立高校の生徒を対象とした貴会の奨学金制度への寄付が残金の最もよい使途と判断し、寄付を願い出た次第です。

京都府立朱雀高等学校通信制課程は、現在も、働きながら学ぶ生徒や病気のために通学困難な生徒、全日制からの転学生、経済的困難な生徒など、様様な困難をかかえる 生徒達が高校卒業をめざして学んでいます。このような公立の通信制課程で学ぶ生徒の存在を知っていただき、貴会の奨学生応募書類を通信制課程にも送付して下さいますようお願いいたします。

京都府立朱雀高等学校通信制課程 元同窓会 元代表者  山本明子

 

寄付に際してお二人に寄稿をお願いしたところ、ご快諾いただき執筆いただきましたので紹介させて頂きます。
(webページへの掲載が大変遅くなってしまいました事お詫び申し上げます。



府立朱雀高等学校通信制に学ぶ

おばちゃん高校生になりました   山本明子

 今から三十数年前、友人から「通信制の高校に入るための願書の保証人になって」とたのまれました。「それなら、私も」と云って、2人で入学手続きをしました。中学を卒業する時、本当は高校へ進学したかったけれど、家業の土木業を手伝うために大型免許を取ってダンプを運転していました。それから30年、思いがけず京都府立朱雀高等学校通信制に入学。40歳半ばのおばちゃん高校生です。

 最初は生涯学習のつもりで入学しましたが、入学してみると、若い人や年齢の高い人など、さまざまな男女がいました。「数十年の間、文字を通じての勉学から遠のいている私が?」と気後れしていました。でも、意外なことに若い人たちは優しく接して、解らないでいると教えてもくれ、苦手な英語や数学は本当にたすかりました。

 通信制の学校行事の通信祭(文化祭)やハイキング、ホームルームなどはとても楽しかった。一緒に勉強し、友達と会えるスクーリングの日が待ちどうしく学校生活を楽しんでいました。楽しい時間はあっという間に過ぎ、4年間がまたたく間に過ぎ卒業をむかえようとしている時、京都府立女子短期大学の推薦候補に選ばれたというお話しが私に来ました。思いもよらぬことでした。思い悩みました。当時、娘も大学の受験生でした。2人の大学生は、わが家の家計では経済的に無理と判断して、断念し辞退しました。

 通信制の高校に行ったおかげで、私も高等学校を卒業したという名誉、短大への推薦が誇りとなり自分に自信が持てました。それは今も私のなかに確かに存在し続けている誇りです。また、支えて下さった多くの先生方に感謝です。奇遇といいますか、同じ年齢の担任湯山ちいほ先生にも出会えました。

 通信制高校は、学びたい、高校卒業の資格を得たい等々の人に開かれた場所です。ともに学んだ友だちのなかに、一級建築士の資格を持ち、すでに自分の設計事務所を開いている人がいました。さらに勉強をしたいと大学の聴講生になろうとしましたが、高校を卒業していないので断られたそうです。それで、朱雀高校通信制に入学し高校卒業資格を得、大学に行きました。今も元気に、自然環境に優しい建築を作っています。

 

 通信制の学生にも奨学生応募の機会と希望を

 朱雀高等学校通信制の同窓会はすでに解散して久しく、会計の残金を預かり使い方も任されていました。「何か有効に活用できないか」と考えている所に、鴨会のことを知りました。湯山先生のご主人の追悼集を読んでいた所、岸本康氏の寄稿文の中に、公益社団法人鴨会が京都府下の高校生への奨学金制度を設けておられる事を知りました。「公立高校の生徒を対象とした鴨会の奨学金制度への寄付が、残金の最もよい使途」と思いました。早速、湯山先生にお電話をし、先生も速く行動して下さり、お話しが進むことになりました。

 京都府立朱雀高等学校通信制課程には、現在も、色々な人が通学しています。私のような年齢の人も、17、8歳で、働きながら学ぶ人、中学・全日制高校でいじめにあい不登校になった人、病気のために通学が困難な人、家庭の事情で経済的に困難な人など、様様な問題をかかえる人達が高校卒業をめざして学んでいます。全日制も通信制も高校です。卒業したら、新しい選択が目の前に広がると思います。通信制の学生にも奨学生応募の機会と希望を与えて下さい。将来の希望を実現する道が開けると思います

 

京都府立大学女子短期大学部は、1951年に設置され1998年に廃止。当時(通信制在学期間1992.41996.3)は、府立高校からの推薦入学制度があった。

当時、高等学校を卒業してなくても、学科試験と実務経験によって一級建築士の資格を得ることができた。

 

 数日前、公益社団法人鴨会の会長さんから、寄付への感謝のお言葉とともに、「通信制の生徒へ、奨学金応募の機会を開くことの検討をはじめる」との文書が届きました。みなさんの賛同が得られることを心から願っています。ありがとうございます。

 京都府立朱雀高等学校通信制課程  元同窓会 元代表者  2023.06.19

 

公立の通信制高校があります

京都府立朱雀高校通信制課程とは?   湯山ちいほ

1、1948年の新制高等学校発足と同時に高等学校の通信教育も発足し、「京都府立朱雀高等学校通信教育部」が設置されました。1949年、通信制併修の定時制課程が発足し、定時制の学習・単位修得の一翼を担いつつ、数年の間、通信制の開設科目が増設されて行きます。

 1955年、ようやく通信教育のみによる高等学校の卒業がみとめられ、19563月

第1回通信教育部卒業式が、卒業生4名、夜の図書室にて行われました。

 

2、全日制や定時制課程の、日々登校して授業を受ける学習とは大きく異なります

通信教育の単位修得は、レポート提出、スクーリング出席、テスト合格によります。

日々の学習は登校せずに「自学自習」によるレポート作成中心で、それを助ける面接指導がスクーリングです。スクーリングは各教科で決められた義務出席時数の出席が必要です。テストは、決められたレポートの提出やスクーリングの出席によって受験資格が得られ、規定回数のテストに合格しなければなりません。

 

3、通信制高校のこのような学習システムは、日々の登校が困難な人たちにとっては、創設以来、唯一のそして最後の高校教育を受ける場であり続けています。中学校の卒業資格は必要ですが、発足以来入学選抜は行われず、学びたいという意志のある人に門戸が開かれています。近年、高校進学率は95%を越え、全日制・定時制のアチーブメントテストに落ち、失意のうちに入学を志望する若い生徒も多くなり、面接によって通信制で学ぶ意志を確認しています。2011年以後は、この面接を入学選抜としています。

 入学後、「今までで一番うれしかったことは?」と尋ねると、かなりの生徒が「朱雀高校通信制の合格通知をもらった時」と答えました。生徒達にとっては、いくつかの不合格通知の後、やっと手に入れた合格通知! 生徒たちの喜ぶ姿に、私は涙がこぼれそうになりました。

 

4、「自学自習」はまことに厳しい学習方法

 特に、各自で自律的に取り組むレポート作成は、教科書や学習書、NHK高校講座視聴等はあっても、計画が立てられなかったり、立てても予定どおりに進められなかったり、理解困難な課題を越えられず学習がストップすることもあります。学校も、スクーリングだけで課題が解決できない場合は、個別の補習などを行っていますが、めげてしまって出てこられない場合も多々あります。そのなかで自律的に勉強し卒業した生徒は、大きな力を獲得します。それは、自分の意志で学習する喜びを知り、卒業後も学び続ける力です。「卒業したらレポートをしなくてもよい。それが淋しくて」と、色々な資格に挑戦したり、古典を読む会(本校の教師を囲んで『太平記』などを数年かかって読む)等の勉強会を続けたり、大学に進学する人も増えています。

 

困難を乗り越えて卒業していった、私の尊敬する人たちを紹介しましょう

A君:いじめにあった中学以来、学校では誰とも話せなくなり、お母さんの付き添いで登校し、担任の私とは筆談で話しました。入学して4年目になり、お母さんがいつの日からかついて来られなくなりました。しばらくして、生徒会長をしていたクラスの一人から「20歳にもなって、親についてきてもらうなんておかしい」と言われたことがそのきっかけだとわかりました。「20歳=大人になること」を、A君の「同世代の若者の率直な一言」から自覚し、以後は少しずつですがクラスの中に入ってきました。文化祭の演劇やホームルームにも控えめなA君の姿が見られました。進路相談も、クラスのリーダーと一緒に担任のところへ来て、「進学したい」と言いました。以後の歩みは着実で、卒業・進学、さらにその後、就職と進みました。卒業後も毎年、年賀状で「パートの人たちと一緒に働いていますが、なかなか厳しいです」など仕事や生活のようすを知らせてくれます。そしてついに、「僕たち結婚しました」と、結婚式のツーショットのカラー写真を添えた年賀状が届きました。卒業して15年目の春の訪れです。

 

B君:「神童」といわれた近所でも評判の子どもでしたが、中学・高校といじめにあい、長いトンネル時代を経て、朱雀の通信制へ来ました。生徒会報の編集委員長としてエッセイを書き、クラス演劇の脚本を創り、「焦っても仕方がない。なるようになるさ!」と思えたとき、トンネルの向こうに微かな光が見えたと書きました。卒業式の答辞では「私たちの存在が、今の管理教育への警鐘である」と結びました。卒業後、大学に進学しました。その後就職し、職場でよきパートナーとめぐり会い、今は2人の娘たちの父親として立派な社会人となっています。

 

Cさん:進路相談会で、高校を不登校になっている子どもさんの相談を受けたのが初対面でした。子どもさんが朱雀の通信制に入学し、「お母さん、ええ学校や、お母さんも行ったらええのに」という言葉に励まされて、1年後に入学されました。そして、子どもさんが卒業し、一年後にお母さんも卒業されました。「子どもの存在なくして、今の自分はない」と子どもを誇りに思い感謝するお母さんになられました。

(多くの素晴らしい卒業生が活躍しています。紙面の都合で、3名に絞りましたが)。

 

 この度、公益法人鴨沂会の奨学金制度に朱雀高校通信制課程の同窓会の残金を寄付させていただき、生徒たちの未来へ希望を託すことができました。ありがとうございます。

京都府立朱雀高等学校通信制課程 元教諭2023.06.20


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